柚と柊の秘密
あたふたしているあたし。
こんなあたしを見て、
「大丈夫?」
心配そうな優二君と慎也君。
大丈夫じゃないよ!
もう、一刻も早く帰りたい!
パニックを起こしているあたしに、
「待たせたな」
新しい声が聞こえた。
あたしは反射的にスタジオの入り口を見ていた。
そこには、すらっと背の高い男子生徒が立っていた。
少し茶色味のある髪。
切れ長の瞳。
あたしは彼を知っている。
あたしの隣のクラスの柳 健吾(やなぎ けんご)君。
柊も人気者だが、彼も人気者。
……とは言っても、柊とはタイプが違う。
柊はお調子者のナルシストだが、健吾君はクール。
女の子はきゃあきゃあ騒ぐけど、「うるせぇ」なんて言うタイプ。
そして、健吾君みたいなタイプ、あたしは苦手なのだ。
優二君は、柊と健吾君を入れて、ビジュアルから入るつもりだったの?
しかも、健吾君がボーカルでしょ?
彼がいるなら十分じゃん。
柊なんていなくても!