柚と柊の秘密








「戸崎さん……」




山形の声が聞こえて、ビクッと飛び上がる。

こいつまで俺に喧嘩吹っかけてくるのかな?





だけど、今日の山形の声はいつもと違っていて。




「ごめんね……

あたしのせいで」




眉を寄せて俺に謝る。




はぁ?

なんか面食らってしまうよ。

何で今日はそんなにしおらしいんだ?






「……ムカついたから」




調子に乗らない俺は、ぶっきらぼうにそう答えた。






山形、やめてくれ!

いつものように俺を口撃してくれ!

こんな女子みたいなお前、扱いに困るんだよ!!





俺の心の叫びは虚しく、山形はなおも女の子を演じている。



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