柚と柊の秘密
「柊は?」
どうせ、物足りないとか言うんでしょ。
だって、柚は地味な女子高生だから。
だから、やっぱり元に戻るべきだよ。
だけど柊は苦い顔をしてこう言った。
「浅井たちに目ぇつけられた」
「えぇ!?」
なに?
今の、空耳だよね?
あたしの聞き間違いだよね?
だって、浅井さんって……
学年でもいじめっ子で有名だよね?
浅井さんを怒らせたら、平穏な生活には戻れない。
ただ、地味なあたしなんて関係ない人だったはずだけど……
「柊!
なんでそんなことしちゃうの!?」
あたしは柊に掴まって、がくがくとゆすっていた。
「だーいじょーぶだってぇ!
俺が一ヶ月で解決させるから」
胡散臭い。
「だから、柚は一ヶ月、安心して俺になってろ」
結局そこなの?
それに、柊が無事に解決出来ると思わないんだけど。
浅井さんと正面から喧嘩して、酷い騒ぎになるんじゃないの?
柊はそれでもいいけどあたしは嫌だ。
誰かに嫌われたり、喧嘩したりするなんてごめんだよ。
はぁー。
頭痛い。
あたしたちのおかしな入れ違い生活は始まったばかりだ。