柚と柊の秘密
学校に着くなり、
「あれ、柊?」
男子生徒が声をかけてくる。
彼を見たことがある。
柊と同じサッカー部の人だ。
彼はジャージを着ていて。
「柊、朝練来ないなんて珍しいな」
なんて言われる。
あ……朝練なんてあるんだ。
あたし、何も聞いていないんですけど。
それ以前に、あたしがサッカーしたら、次こそバレてしまうよ。
急に鼓動がドキドキする。
冷や汗が流れる。
「今からでも来るか?」
彼はそう言って、顎をグラウンドへ突き出した。
グラウンドではジャージを着た人がサッカーボールを追って走っていて。
みんな、あたしには出来ない足技でボールを転がしていた。
「あ……あた……俺……」
パニックを起こすあたし。
何とかして断らなきゃ。
「俺……」
何て言おう。
生理?
そんなはずない。
腹痛?
わざとらしくない?
あぁ、分かんないよぉ。
あたし、どうしたらいいの?