柚と柊の秘密
「戸崎、ギターやるんでしょ」
急に別の女子の声が聞こえた。
聞き覚えのある声だ。
慌てて声のするほうを見る。
すると、そこにはあたしと同じクラス、サッカー部のマネージャーの山形みどりが立っていた。
決して乙女っぽくはないが、健康的な女の子。
サバサバしていて、スポーツも出来て。
そんな山形さんは……
柊を敵対視していたんだ。
その事実にぶち当たる。
柊、言っていた。
山形さんとは関わるなと。
面倒だからと。
山形さん、あたしには普通なのにな。
一体、柊にはどんな態度取るんだろう。
出方によっては一目散に逃げないと。
必死に頭を働かせるあたし。
こんなあたしのもとに飛び込んできた山形さんの言葉は、思いもよらないものだった。
「戸崎はギター練習するから、部活にはしばらく来れないって聞いたよ?」
誰がそんなこと言ったんだろう。
そして、ナイス発言だ!
そうだ、あたしはギターを理由に部活を休めばいいんだ。