柚と柊の秘密





「戸崎、ギターやるんでしょ」




急に別の女子の声が聞こえた。

聞き覚えのある声だ。

慌てて声のするほうを見る。

すると、そこにはあたしと同じクラス、サッカー部のマネージャーの山形みどりが立っていた。



決して乙女っぽくはないが、健康的な女の子。

サバサバしていて、スポーツも出来て。

そんな山形さんは……

柊を敵対視していたんだ。

その事実にぶち当たる。




柊、言っていた。

山形さんとは関わるなと。

面倒だからと。

山形さん、あたしには普通なのにな。

一体、柊にはどんな態度取るんだろう。

出方によっては一目散に逃げないと。





必死に頭を働かせるあたし。

こんなあたしのもとに飛び込んできた山形さんの言葉は、思いもよらないものだった。





「戸崎はギター練習するから、部活にはしばらく来れないって聞いたよ?」




誰がそんなこと言ったんだろう。

そして、ナイス発言だ!

そうだ、あたしはギターを理由に部活を休めばいいんだ。



< 62 / 363 >

この作品をシェア

pagetop