柚と柊の秘密
「戸崎、サッカー出来ないほどギターにのめり込んでるのか?」
男子生徒の言葉で我に帰る。
「う……うん!
全然出来なくて、ピンチなんだ」
あたしは何とかその場を取り繕う。
「本当はね、すごくサッカーしたいんだけど、文化祭に間に合わなくて」
「じゃ、仕方ないか……」
男子生徒はがっかりした表情になり、ため息を吐く。
なんだか彼に申し訳ないな。
それ以前に、キャプテンの柊が部活サボるとかありえないのに。
あぁ……
なんかもう、罪悪感の塊だよぉ。
あたしはグラウンドに背を向け、とぼとぼと歩く。
早くもとの生活に戻りたい。