柚と柊の秘密
山形は紅くなった顔を上げ、俺をまっすぐ見る。
その真剣な瞳にびくりとする。
こいつ、意外にまつ毛長いんだな。
瞳も茶色で吸い込まれそう。
あれ、山形ってこんな顔だっけ?
いや、こんな顔だった。
俺はこいつをまじまじと見たことなんてなかったんだ。
「戸崎さん。
あたしは戸崎さんの味方だから」
山形はその凛とする声で、はっきりと告げる。
「大丈夫だって。
俺は一匹狼でも……」
「戸崎さん!」
その山形の声が胸に響き、俺は再び山形を見た。
そして、その茶色い瞳から目が離せなくなる。
「あたし、戸崎さんの友達になりたいの。
戸崎さんの友達になって、次は戸崎さんを守りたいの」
何言ってんだよ。
山形なんかに守られたくねーよ。
そんな言葉が口まで出かかったが……
真剣な山形を見ると言えなくなってしまう。
山形が友達ね。
まぁ、いいだろう。
今まで散々罵られてきたんだ。
次は俺が冗談で振り回してやろう。
「よろしくな」
山形に手を出す。
山形は、山形らしくないにっこり笑顔を浮かべ、俺の手をぎゅっと握った。