柚と柊の秘密
俺は雑巾を握りしめ、クラスの奴らを睨んだとき……
「文句あるならはっきり言いなよ」
俺の代わりに言葉を発したのは……
山形だった。
ちょっと、山形!
山形がそんな馬鹿なマネしなくてもいいのに。
なのに山形はしっかりとクラスの奴らを睨み、毅然とした口調で続ける。
「理由もなく戸崎さんいじめるなんて酷いよ。
……恥ずかしくないの、そんなことして」
クラスの奴らは何も言えず、山形を見ていて。
「あたしは何があっても戸崎さんの味方だから」
そんな宣言までしてしまう。
「あんたら全員敵に回しても、あたしは戸崎さんの味方だから!」
ち……ちょっと!
そこまで言うか?
ここは俺一人ターゲットにしておいたほうが、山形は穏便に済むのに。
馬鹿野郎。
山形の世話まで俺が焼かないといけないのか?
……でもな
………嬉しかった。
山形なのに、嬉しかった。
俺、実は精神的に参ってんのかな。
「ありがとう」
山形に言うと、山形は微かに頬を染める。
まるで女が俺を見て紅くなるように。
山形ってさ……
もしかして、女が好きだったのか?