柚と柊の秘密
健吾君の張った弦はピカピカで。
健吾君が弾くと心地よい音を立てた。
音だけでも全然違う。
健吾君の音は凛としていて、しっかりしていて。
あぁ、あたし、やっぱり才能ないなぁ。
「あ……ありがとう」
あたしなんかに関心はなく、あたしが持ってきたギターを触っている健吾君に言う。
健吾君はあたしの言葉なんて聞こえないのか、いや、聞く気もないのか。
やっぱりあたしが嫌いなのだろう。
あたしなんて無視して、赤いギターに見入っていた。
やっぱり居心地が悪いな。
健吾君がいたら、練習なんて出来るはずもない。
緊張しちゃうし、下手丸出しだし。