柚と柊の秘密
逃げ出そうとした。
これ以上、健吾君に嫌われちゃいけないと思った。
それか、本当に脱退しようと思った。
柊だったらきっともっと上手くやったのに。
あたしは柊みたいに器用ではない。
「怪我してるのか」
健吾君はそう言って……
あたしの手をグッと掴む。
その手が予想以上に大きくて、力強くて。
ドキンとした。
何ときめいたの、あたし。
健吾君はあたしのこと嫌いなのに!
なのに、健吾君は絆創膏を出して、あたしの傷口にそっと貼ってくれる。
あたしは、思わず健吾君を見上げていた。
見られるのが嫌なその切れ長の瞳を見るだけで、なぜだか胸がざわざわする。
あたし、おかしい。
これって、何だろう。