柚と柊の秘密
「次のターゲット、戸崎柚なんだって」
「浅井、こえー。
柚チャン可哀想じゃん」
廊下を歩いていると、そんな言葉が聞こえてきた。
想像した通りだ。
やっぱり柊は浅井さんに喧嘩を売って、いじめのターゲットにされてしまった。
「戸崎さんっていい子だよね」
「うん、戸崎さんの味方したい。
でも、浅井さん相手に下手出来ないし」
はぁー。
その言葉だけで涙が出てくるよ。
ありがとう。
でも、それなら柊を助けて!って言うのは無謀かもしれない。
だって、浅井さんのいじめ、半端ないんだもん。
浅井さんの親は学校の理事長で、先生すら歯向かえない。
こんなんだから、あたしも今まで見て見ぬふりをしてきた。
自分がターゲットになるのが怖い。
小心者だったんだ。
でもね、柊がターゲットになってしまった今、あたしはどうしたらいいの?
いや、今は柊だけど……
あたしたち、入れ替わっているんだ。
だから、ターゲットはあたし……
気分が沈んだ。
あたしたち、これからどうなってしまうの!?