柚と柊の秘密
結局、俺は誰とも口を聞かなかった。
山形みどり以外に。
俺の席には四六時中いたずら。
俺の悪口を書いた髪が回ってくる。
卵を投げつけられる。
先生も見てみないふり。
悪いけど、痛くも痒くもない。
俺、メンタル強いんだからな。
投げつけられた卵をキャッチして、投げ返してやる。
ロッカーに入っていた蛇を振り回して、うざい女子に投げつけてやる。
そっちがそのつもりなら、俺だって徹底的にやってやる。
「戸崎柚、やべーな」
クラスの奴の内緒話が聞こえてくる。
「おとなしい女かと思っていたけど、キレると怖いんだな」
まだ俺を柚と信じてるのか。
「でも、少しかっこいいよね。
あれだけやられて動じないなんて」
当然じゃん。
そうしている間にもホームルームが終わり、俺はそそくさと学校を出た。
柚が帰宅部でよかったよ。
これ以上面倒な学校にはいたくない。
本当はサッカーしたいけど、当分我慢だ。