吸血鬼、頑張ります。
「あんたたち二人は、心中して死んだんだ」
鉄観音は二人に話す。
「事情はどうであれ、余りにも不憫で、俺が生き返らせちまった」
「い、生き返らせた?」
「そうだ。駄目だよ、若いのに自殺なんかしちゃ。死んだって何も変わらないんだから」
姉は全く理解できていない・・・。
「死んだのに生き返らせたって、意味がよく解らないんですけど・・・」
「う〜ん・・・つまりだなぁ・・・」
鉄観音は頭を掻く。
「やっぱり儀式をやらないとダメか・・・。
中2病みたいでやりたくないんだけどな・・・」
姉は不思議そうに鉄観音を見る。
「悪いんだけど二人とも、そこに座って、そうそう。で、右手の人差し指と中指で首の左側にある、そう、そこ!」
「その傷口を2本の指で押さえて貰って良いかな?」
「あ、妹ちゃん!上手上手!はい。二人ともこっち向いて。はい、ちゅうも〜く!」
業務的に二人に指示を出す鉄観音。
「ふぅ・・・」
ため息をついてシーツをマント代わりに体に掛ける。
そしてシーツで口元を隠し、姉妹の目を見詰める。
鉄観音の目が、LEDライトのように激しく光り出した。