吸血鬼、頑張ります。



「君達の超人的な能力は、この夏の間にだいぶ理解できた」


夕食の時、鉄観音は皆に言った。


「しかし、だ。
君達が、学校に通いだして、人の目に晒される以上、俺は見過ごせないと思う」



「沙織さん、ドレッシング採って貰えますか?」

「は〜い、イブさま」

「ひよりちゃん、好き嫌いしちゃダメですよ。
野菜を沢山食べて、綺麗な血を作りましょう」

「でも、香織姉様、野菜を食べなくても、王様の血を飲んでいれば私は生きて行けますよ」


「それでも!あんな血ばかりじゃひよりちゃんの体が心配ですもの」


「は〜い。解りました」


「香織さん、沙織さん。今日の生肉はいけておりますよ。
鹿かしら?お二人とも食べてみて下さい。
どう?美味しいでしょう?」


「イブさま〜、イブさまは狩が得意なんですね。すごく新鮮でおいしいですよ〜」


「あらあら、沙織ったら。そんなにいっぺんに食べないの。お行儀が悪いわよ」


「いいえ、香織さん。
子供はそれくらいで無ければ。
さあ、お二人とも、沢山召し上がって下さい」


「あのっ!!俺の話、聞いてますか?みなさん!」


「王様!食事中は無駄話をしないで下さい!
ほんと、行儀の悪い!!」



鉄観音は皆に責められる。


「あっれぇ〜・・・おかしいなぁ・・・」



毎度ながら、夕食は楽しく過ぎていくのだった。
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