吸血鬼、頑張ります。



「さあ、皆さん!今夜はお祭りですよ!!
早速ですが浴衣を用意致しました」


イブはいつの間にか購入していた浴衣を女子達に披露した。


「さあ、好きなものを選んでください。
因みに、この浴衣。
神社のお賽銭で、ネットで購入致しました」


「つーか、イブちゃん!うち、ネット繋がるんだね?」


「ええ。冥府ネットですよ。地下社会には、便利なお店が沢山ありますし、いかんせん安いのが魅力ですね」


「地下社会?まさか、そんな場所が?」


「皆さん可愛いので、どれもとても似合うと思いますよ」



香織は大人っぽい黒色の朝顔柄をチョイス。

沙織とひよりは色違いの白と黄色の浴衣。

イブは小豆色の浴衣。



鉄観音は何故か新撰組の衣装だった。


「オカシイだろ!これ!なんでコスプレだ!」


猛然とイブに抗議する鉄観音。


「フムフム。似合っておりますよ、王。
私の趣味にぴったりのチョイス」


「これが?うわ〜・・・。イブちゃんの書斎に並んでたホモ漫画とそっくり・・・」


鉄観音は顔面に痛烈な蹴りを受け、
キリモミしながら吹っ飛んだ。


「BLを、ホモ漫画と言うな!!!芸術だ!このシレ犬めが!!!」


【誠】

の文字を空に向け、

鉄観音は呻くように言う。

「ど、どうも誠にす、すみません・・・」


髪型も決めた四人と、
蹴りが決まった一人は、
皆に気付かれないように静かに、夏祭りの中に紛れ込んだ。


< 109 / 138 >

この作品をシェア

pagetop