吸血鬼、頑張ります。
香織も沙織も、お祭りは本当に久し振りだった。
ひよりに至っては、初めてのお祭りで、凄く興奮しているようだった。
顔面を抑えながら、鉄観音はイブに言う。
「皆、嬉しそうだね。イブちゃん。誘ってくれてありがとうね」
不意に真面目な顔で鉄観音に言われ、イブはビックリして、赤くなった。
「そ、そんな事。家を取り仕切る者には当然の配慮。
お、王にお礼を言われるような事では有りません。
それに・・・」
イブはうつ向いた後、鉄観音を見詰めて言う。
「私が楽しみにしていたってのも、有ります」
イブは少女のように微笑んだ。
そして、三人の元へ走って行き、一緒に笑いながらはしゃいでいた。
華やかな美少女達が、ニコヤかに過ごす姿は、とても目立っていた。
地元の人達は、どこから来たのかと鉄観音に訪ねてきて、鉄観音は答えに窮しながらも、上手く答えながら皆を見守っていた。
「えっ!?何それ?そんなに食べれるの?」
鉄観音は香織に聞く。
「何故か、立ち寄る屋台で可愛いからって皆おまけしてくれたんです」
香織は誇らしげに言う。
「いくらなんでも、たこ焼きにお好み焼き、大判焼きなんか二十個位あるじゃん!」
それが全員である。
ひよりと沙織に至っては、金魚すくいの金魚が六匹、お面にリンゴあめ。
ついでに綿菓子と射的の大きな熊のぬいぐるみである。
「なんか、難民の救援物資みたく成ってるし・・・」
と、鉄観音が言っていると、
背中を誰かに叩かれた。
ふと振り向くと女子が二人立っていた。
「すいません!写真撮らせて下さい!」
どうやら、コスプレイヤーと思われているようだ。
それを見ていたイブは、親指を立てる。
よく解らないまま、鉄観音は言われたポージングをする。
ヒュー
ドカーン
打上げ花火が、夜空に大輪の花を咲かせた。