吸血鬼、頑張ります。
魔導以外の身体能力の高さは、
吸血鬼の3人が抜きん出ていた。
香織と沙織は、力の割合をコントロールする事で、魔導師達を遙に凌駕する。
例を挙げるなら、片手で車を止めたり、鉄筋を何本も持ち上げたり、重力を無視した跳躍すらやってのける。
力の制御が覚束ない沙織は、香織程力を出せないが、移動等は香織よりも速く動ける。
香織は上手に体をコントロールして、使いたいときに使える力を発揮できる。
ひよりは、生身の人間の体であるため、二人の様に無制限に力を発揮する事は出来ないが、体に負担が掛からない範囲内であれば、同等に渡り合える。
特筆すべきは、頭にイメージを浮かべる事で自分の体を変化できる能力だった。
まだ変化できる数には限りがあるが、コウモリ、リス、蝶にまでなれる。
変化中に外敵に襲われた場合、外敵の体内で外敵のDNAを吸収し、更に強い生物に変化出来ると言う、超ご都合主義な力である。
又、ひよりの場合、様々な事象を学習し、記憶し、分析する能力に卓越している。
吸血鬼型不死身虔属の特徴である。
主人を守るためには必要な力なのだと、イブが言っていた。
魔導に対抗するための吸血鬼の知恵である。
魔導の様な事はひよりには出来ないが、魔導を分析する事は可能なのだった。
それぞれが、その特性を遺憾無く発揮するのは、
聖ルボルグ学園特進科体育祭
魔導演武大会である。
それは、世間から秘密裏に行われるこの学園特有の体育祭であった。