吸血鬼、頑張ります。
『紅白戦綱引き対決は赤組の勝利です!』
アナウンスが告げた。
会場は大歓声に包まれた。
赤組は抱き合って喜んでいた。
3人の吸血鬼が加入した赤組は、凄まじい強さであった。
3人が身に付けているロザリオは、
吸血鬼の力を抑え込み、より、人に近い学習能力を沸き上がらせる物だったが、
ロザリオで抑えきれない吸血鬼の力も、少ないながらも放出されている。
その点を利用した赤組の魔導は、吸血鬼に対する知識と応用がもたらした勝利であった。
歓声に沸く会場を見ながら、
月山いりえは言う。
「流石に吸血鬼と接していただけの事は在るな」
「奴等は魔導師の端くれだが、ちゃんと性質を理解してやがる」
「いりえちゃん。
やっぱり魔導は吸血鬼にもちゃんと効くんだね」
鉄観音も会場を見ながら言う。
「あたりめぇだろ。人間が唯一持ってる妖怪に対する力だ。
個人差は在っても、てめえらに通用する戦いの手段なんだからな」
「まあ、俺達は魔導師と戦ったりしないように気を付けてないと・・・」
「ああ。俺らもそう願いたいもんだぜ」
二人は静かに語り合っていた。
二種目目は、学年別徒競走である。