吸血鬼、頑張ります。
ひよりは緊張していた。
運動会で、今までこれ程注目を集めた事が無かったからだ。
種目は障害物競争。
難解かつ、複雑な障害物競争は、
突如競技用フィールドに姿を表した巨大迷路のタイムトライアルだった。
何処にこんな巨大迷路が、格納されていたのかは置いておいて、
迷路内に隠された暗号を解きながら進む競技である。
知力と体力、精神力を試される種目だ。
まずルールは、紅白交互に迷路へ入る。
各学年10名ずつ。
クリアータイムが合算されて、速かった組の勝利だ。
尚、迷路を破壊したり、すり抜けたりする魔導は失格。
数多のミッションをクリアーしなければならない。
迷路の中で、他の組に遭遇した場合、お互いの魔導による足止めが可能。
この場合、魔導が使えないひよりは、著しく不利になる。
シンプルながらも、奥の深い障害物競争だった。
因みに学年によって、トラップ発動が変わる。
初等部1年生などは、単純に迷路の攻略のみになる。
2.8mある壁は、車の衝突でも傷一つつかない強化プラスチック
毎年必ずリタイアする生徒が居る、聖ルボルグ学園名物【魔壁迷宮】
それだけに選手は注目される。
ひよりは緊張しながら、自分の番を待っていた。