吸血鬼、頑張ります。
最初のチェックポイントは、思いの外簡単に見つかった。
チェックポイントには数字が記されていた。
「3て書いてあるね」
ひよりがカナメに言った。
「まず、3ていう数字を記録しよう」
初等部の迷路は、数字を沢山見つけた分だけ点数が加算される。
チーム10名で、ゴールできた人数と、チェックポイントで見つけた数字の合算が、ポイントになる。
ふと、カナメはまたもや足音に気付いた。
「ひよりちゃん、先を急ごう。多分上級生だよ」
チェックポイントなので、上級生も勿論来る。
鉢合わせしたら、圧倒的に上級生が優位だ。
二人は足早にチェックポイントを抜けて、先へ進んだ。
魔壁迷路は、更に難易度を上げる。
ふと、ひよりはコウモリに変身する事を思い付いた。
コウモリなら、さほど気にされずに迷路を進めると考えたからだ。
「カナメ君。私変身してみても良い?」
ひよりはカナメに聞いた。
「えっ!?ひよりちゃん、変身できるの?」
「うん。種類は少しだけど、出来るよ」
そう言うと、ひよりは瞬時にコウモリに姿を変化させた。
洋服も一緒に小さくなり、カナメは驚いた。
「ひよりちゃん!凄いね!」
ひよりはカナメの周りを暫く飛んで、迷路を進み始めた。
広大な迷路は、一度上から見ただけでは解読出来ないほどである。
チェックポイントは魔導によってフワッとされていた。
ひよりはルールに則り、コースを進む。
先程の声の主である上級生とすれ違う。
この時ひよりは止まってやり過ごした。