吸血鬼、頑張ります。
トラックの運転手は、青ざめながら逃げていた。
「ああ、やっちまったよ〜・・・会社も首かよ・・・社会的に終わった・・・」
「絶対死んじゃったよな・・・」
愕然としながら、運転をしていた時、ふと、ドアミラーに何かが映っている。
「あれ、何だ?」
徐々に何かが迫ってくる。
ミラーには明らかに人のような何かが迫ってくる。
「う、嘘だろ・・・」
「すいませ〜ん・・・」
運転手の耳に何か聞こえた。
「な、なんだよ〜気持ち悪いよ〜・・・」
運転手はトラックを加速させた。
しかし、人のような何かは凄まじい速さで追い付いてくる。
運転手は震えだした。
「か、勘弁してくれよぉ〜何なんだよ・・・」
脂汗が流れる。
バン!バン!バン!
「俺は見ないぞ!絶対見ないぞ!」
バン!バン!バン!
「ちょっと、すいません」
「聞こえない!何にも聞こえない!何も居ない!」
運転手はガタガタ震えながら、言い聞かせるように前を見ている。
助手席のドアをバンバン叩く何かがいる。
運転手は余りにも気になり、強烈な恐怖を感じながら、ゆっくりと音がする助手席を見る。
助手席の窓はベットリと血が付いていた。
「えぎゃああああ!!」
運転手は前を向く。
すると眼前のフロントガラスに、腕の無い血まみれの女が張り付いていた。
「多分、私の腕が車にくっついて居るんだと思うんですけど・・・」
香織はフロントガラス越しに訪ねる。
運転手は気絶した。
トラックはコントロールを失い、電柱に激突。
そして止まった。
香織はクラクションが鳴りやまないトラックの下に潜る。
「在った、在った」
バンパーに挟まった腕を引き抜くと、自分の腕に併せた。
光りと共にみるみる腕が再生していく。
「さて、王様の所に帰ろう」
香織は走り出し、戻っていく。