吸血鬼、頑張ります。
「報告します。
遂に虔属を作ったようです」
「ええ。首尾は整っております。引き続き監視を続けます」
「暴走ですか?いえ、今のところ人間のままなので、バンパイアの力は10%ほどしか出ておりません」
「はい。東洋魔導師組合の陰陽師に任せております」
「では、失礼します」
魔導師組合世界本部の一室。
彼等は陰と陽の対を成し「陽」を司る、云わば妖怪討伐のエキスパート機関。
世界の妖怪を監視する人間側の機関である。
吸血鬼証明書を発行したのも彼等だ。
人間と妖怪の様々な取り決めを行う為、個人営業をしていた世界中の魔導師が団結して作った組織。
そうする事で、妖怪と人間の戦争になるリスクをお互いに回避している。
領分は不可侵として、極力干渉はしない。
時折小競り合いは起きているが、侵略戦争になる事は無い。
侵略戦争になった場合、人類も妖怪も大きな犠牲を払う。
それを防ぐ為に、妖怪の所在とタイプを把握して監視する。
証明書を発行するのはその為である。
特に吸血鬼のような、人に依存するタイプの妖怪は厳重に監視されているのだった。