吸血鬼、頑張ります。
「それでは皆様。この水晶のお値段ですが・・・」
「なんとたったの150万円!!」
「安い!」
「ぜひ買うわっ!!」
「そ、そんなに安くて良いのですか教祖様!?」
「ええ、皆様の幸せの為ですもの」
その部屋は異様な空気に満ちていた。
中高年の男女が一斉に手を挙げて、得体の知れない商品を、高額で買いまくっていた。
商品を運ぶのは黒服の男達。
サングラスで表情が全く解らない。
部屋の一番北側の壁には何かの模様か、あるいはマークの様な文字が、掛け軸の様に掲げられている。
その中央には、白服を着て、目だけを覗かせた頭巾を被り、いかがわしい物を声高に説明する教祖と呼ばれている女が居た。
古い一軒家の壁をぶち抜いた広い部屋で、完全に中高年をカモにした霊感商法が繰り広げられていた。