吸血鬼、頑張ります。
「教祖様。本日の売上はなんと!3642万円になります!」
全員が拍手をする。
「ふう・・・。少し話を聞いて、その気にさせて優しくしていればいくらでも金を出すのよ、あいつ等は」
頭巾を取って顔を見せたのは、日野みさきだった。
「大体ね、本当に力が宿るあの商品達を、詐欺だなんだって証拠も無しに決め付ける馬鹿が居るから、場所を転々としなきゃならないのよ」
「教祖様の仰る通りです」
黒服達は頭を下げる。
日野みさきが強烈に魔力を注ぎ込んだ、ここで売られている数々のいかがわしい物は、実は本当に効果の在るものだった。
リサイクルショップで購入してきた物に、みさきは全霊を込めて魔力を注入する。
健康になる為の魔力ならぬいぐるみに。
金を儲ける為の魔力なら財布に。
家庭の空気を良くする為の魔力は水晶玉に。
現にここへ来る中高年の全員が、効果を満足した後にやって来ている。
ただ、家族にしてみれば、只の汚い古物でしかない。
それに法外な金を吹っ掛けて、無理矢理売り付けていると思われても仕方がない。
しかし、その都度裁判沙汰や、警察沙汰に成ってしまい、日野みさきは、公安等にマークされる存在に成ってしまっていた。