吸血鬼、頑張ります。
「教祖様。お手紙が届いております」
黒服がみさきに手紙を渡す。
「ん?あれ?魔導師組合からね?なんなのかしら・・・」
−東洋魔導師組合大元帥・日野みさき様
予てより監視対象であった吸血鬼一族、蕪木家ですが、
父親の蕪木フォンティンセンヌ一郎から、蕪木鉄観音へ力を譲渡してから15年。
再び活動を始めた模様です。
虔属は2名。姉妹。
姉の橘香織・妹の橘沙織
姉妹は二人とも死者から蘇った為、不老不死種族に分類されます。
虔属に変化した経緯は別紙をご覧ください。
現在、蕪木鉄観音と橘姉妹は風雲蕪木城に居る模様ですが、吸血鬼蕪木家の強力な結界により探索は不可能。
ネットワークを使った警戒活動を実施して、吸血鬼の存在の危なさを普及啓蒙して下さい。
尚、蕪木家とは不戦不可侵の契約を結んでおりますが、満了日が近い為、仮に蕪木家を根絶させた場合、世界製薬メーカー及び、医療科学学会より莫大な懸賞金が支払われます事も、念頭に置いて頂きまして、活動を行ってください。
以上
追伸・読み終わりましたら焼却願います。
「ふ〜ん・・・。別に神経質に成る事でも無いと思うのだけれど・・・」
「今まで、そんなに問題に成らなかったものね・・・」
みさきは手紙を燃やした。
「さて、どうしたものか・・・。契約満了だから更新の手続きの案内もしないといけないしね・・・」
みさきはひとまず、ネットで吸血鬼の存在を広める事にした。