吸血鬼、頑張ります。
長く暗い地下の廊下は、丁度屋敷を貫くように、東西に延びていた。
鉄観音は廊下のほぼ真ん中の位置にある部屋の扉に手を掛けた。
ガチャガチャ・・・。
「あれ、開かない・・・」
何度かドアノブを動かすも、内側から鍵が掛かっているようで、開く気配がない。
「王様、この部屋には一体何が在るのですか?」
ドアノブをガチャガチャやりながら、鉄観音は香織の質問に答える。
「えっとね・・・。確か、書庫だったんだけど・・・。う〜ん開かない!」
諦めて香織に向き直り話す。
「蕪木家の歴史とか、吸血鬼の事に関する資料とか、この部屋に在ったんだよ〜」
「中2の夏に、一度だけ入れてもらってそれ以来来た事無かったけどね」
鉄観音は首を傾げる。
「何か儀式的な事をやった記憶があるんだよな・・・この部屋に入る為に・・・」
プウッ・・・。
「ち、ちょっと王様!こんな時にオナラをするなど、不謹慎です!!」
「し、しょうがないじゃんか!我慢は体に良くないんだよ!」
「しかも、こんな密閉された場所で・・・くさっ!」
「香織ちゃん!そんな顔をするほど臭く・・・くっさっ!!」
「王様の品性を疑います!」
「・・・」
バンバンバン!!
鉄観音と香織はビクッとなる。
部屋の扉の内側を激しく叩く音だった。