吸血鬼、頑張ります。
「うおおおっ!な、何だよ〜っ!ビックリさせるなよ!」
鉄観音は驚いて、部屋の反対の壁に背中を張り付ける程飛び退いた。
「ちょっと、香織ちゃん・・・誰か居るのか確認してみて・・・」
「えっ!?私がですか?」
「う、うん・・・」
「嫌ですよ!王様が確認して下さいよ!」
「無理無理無理ムリムリ!!!あ、あれだ、心臓が痛い」
「ハア?」
「ダメなの!人が驚かす系のお化け屋敷とか、マジでムリなの!!」
バンバンバン!!!
更に扉が叩かれる。
「チッ・・・」
香織は舌打ちして、扉の前に立つ。
拳に渾身の力を込めて扉を殴る。
ドガンッ!!!
扉に亀裂が走る。
又香織は、渾身の力を拳に込めて、扉を破壊しようとする。
「ダメダメ!香織ちゃん!扉を壊しちゃだめ〜っ!!」
鉄観音は香織の腕にしがみ付いた。
「離して下さい王様。私はアナタのクソへたれぷりが、頭に来ているのです」
「解ったって!ゴメンゴメン!ちょっと、部屋の中からなにか聞こえない?」
香織の腕を必死に抑えながら鉄観音は言う。
「部屋の中に、誰か居るんですかね?」
香織は鉄観音を払い落とし、扉に近付いた。
扉の向こうで、何かのすすり泣く様な声が聞こえてくる。
「うわっ!香織ちゃん!俺、マジで無理だ!!幽霊とか絶対無理!!」
鉄観音は激しく拒絶し、青ざめている。
香織はまたしても、チッ・・・。と、舌打ちし扉を叩く。
トントントン・・・。
「誰か居るんですか?返事をして下さい?」
香織は耳を扉に充てる。
「あ、王様、中に誰かいますね」