吸血鬼、頑張ります。
パンはパンでも硬すぎて食べられないパンはな〜んだ。
鉄観音は考える。
なぞなぞについてではない。
何故、自分は自分の家のカビ臭い地下の廊下で、古い扉で頭を打たれる事になり、
あまつさえ、
ハルシュバーン公爵などと呼ばれ、この古い扉に向かってなぞなぞに答えようとしているのか?
と、言う事を。
頭を打たれたせいなのか、それとも未だに幽霊かも知れないと言う混乱からなのか、鉄観音の考えは、中々まとまらなかった。
ひとまず、なぞなぞに答える事にした。
「えっと・・・。フライパンかな?」
「・・・」
沈黙する扉の内側。
−正解は・・・−
ゴクリ・・・。
何故か香織も生唾を飲む。
−フライパン!!!大正解!!!おめでとうございます−
「・・・あ、ありがとう・・・わ〜い、うれしいな・・・」
鉄観音は全く喜んでいない。
ただ、香織は涙を流しそうな程感動して、鉄観音を見ながら何度もうなづく。
「か、香織ちゃん。俺の事、バカだと思ってるでしょう・・・」
香織は首を横に振る。
−では、次の問いです。朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足の生き物はな〜んだ!−
香織は今にも答えを言いたそうな顔で、鉄観音を見詰める。
「はぁ・・・。あれでしょう?人間でしょう?」
鉄観音は答える。
−!!!な、なんと大正解です!!!−
香織は得意気に、良くやったと言わんばかりに鉄観音に微笑みかける。
−では、最後の問題です−
扉の内側の可愛らしい声が告げる。