吸血鬼、頑張ります。


蕪木鉄観音と書いてかぶらぎはるしゅばーん。

「し、知らなかった・・・。てっかんのんじゃ無かったのか・・・」


鉄観音は驚愕の事実を知った。

「特殊ルビにも程があるだろう!!
あの親は何を考えていたんだ?マジで・・・」


サザンクロスは蕪木家の執事を務め、代々王を継承する度に仕えてきた、言わば蕪木家の歴史そのものだった。


家を守る為に結界を施し、秘密を守る為にこの地下に潜んでいた。


虔属を作った鉄観音は、名実共に吸血鬼となり、妖怪を支配する。

その手助けを行うのも執事の大切な使命である。

吸血鬼マニュアルとは、サザンクロスの事であり、サザンクロスが毎日記す日記が禁書として、保管されていたのがこの地下の書庫だった。



「つまり、俺が親父から力を受け継いだ時には、既に此処に居たんだ?」

「はい。先代の王が作った他の虔属は消滅しましたが、私だけは消えません。
新たな王が覚醒するまで、この部屋に留まります。因みに、私はこの屋敷から出る事が出来ないのです」


「そ、それはどう言う事なんだ?辛くなかったのかい?」


「いえいえ、草木がその場に根を張る事と一緒なのです。苦痛はございません」


「そ、そうなのか・・・。なんか、凄いねそれ」


「新たな王と新たな虔属の道標になるための私です。新たな王達のこれからが楽しみです。
私もキチンと支えますよ」



見た目は中学生位の少女であるサザンクロスは、透き通った声と、幼さの中に纏う妖艶な魅力を併せ持つ。
彼女と接すれば、人離れした危うい魔性を感じてしまう。
危険なゴスロリ執事だった。

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