吸血鬼、頑張ります。
沙織は窓から外を眺める。
「学校のみんな何してるかな〜・・・」
突然訪れた日常からの別れ。
生きていく環境の変化と、死んでしまった体の変化。
「もう皆には会えないのかな・・・」
沙織は窓に向かって呟いた。
香織はそんな沙織を物陰から見ていた。
確かに、今はこんな体になってしまったが、人の体裁は保って活動をしている。
しかし、果たしてこの状況は生きていると言えるのか・・・。
そんな疑問は残っているが、不思議と考えがまとまらなくなり、ふと境遇すら忘れてしまう。
これが虔属の宿命なのだと思っている。
決して生きている訳ではなく、生き返っていると言う表現が正しいのだろう。
生き返って吸血鬼を守る意識を持った人形。
そんな位置付けで存在するに至っているのが、自分達なのだろう。
「よし。王様に相談をしてみよう」
香織は鉄観音が居る中庭へ向かって歩いていった。