吸血鬼、頑張ります。
沙織は掃除をしたり、サザンクロスの手伝いをしたり、香織の手伝いをして毎日を過ごしている。
自分では遊びらしい遊びもしないまま、鉄観音が時々沙織と遊ぶ程度だった。
沙織は屋敷を一生懸命に掃除し、仕事をこなしていた。
「沙織ちゃん・・・」
沙織は声に気付いて振り返った。
鉄観音は沙織に声を掛けた。
「ちょっと良いかい?」
「なに、お〜さま?」
二人は空き部屋に入る。
椅子に対面して座る。
「沙織ちゃん、学校に行きたいの?」
鉄観音は沙織に聞く。
「え?どうしたの急に?」
首を傾げる沙織。
「前まで行っていた学校じゃないけど、この辺の学校なら行けるかなって」
「う〜ん・・・。どうだろうね・・・。行きたいけど、もう前みたいな感じじゃないから」
「って言うと?」
「お姉ちゃんから聞いているの色々。だから、学校へは行けないんだってわかってる」
「そうか・・・」
少し複雑な心境の鉄観音。
「じゃあ、沙織ちゃん。同じ歳ぐらいの友達とかは欲しいのかな?」
「う〜ん・・・どうだろう・・・友達とか欲しくて、寂しい時はあるけど皆が居るから」
「そんなに寂しくは無いの?」
「うん」
明るく返事をする沙織。
それから暫く二人は話をして、沙織は部屋を出ていった。
「やっぱり、イブちゃんの言うとおり、新しい虔属を探して来ないとダメかな・・・」
鉄観音は気乗りがしないまま、部屋の窓から外を眺めた。
深い森の特殊な結界に覆われた屋敷は、動物にも発見されないままに、静寂に包まれていた。