吸血鬼、頑張ります。
「地元の人間以外が、この森に足を踏み入れる事は、実際不可能なんです」
「でも、あの子は居たんだよ?」
「そう、過去にも工事業者が蕪木森に礼拝無く侵入した時が在りましたが、結界により、森をぐるぐる歩かされて、瀕死の状態で帰らせて居ました」
「工事業者!?瀕死の状態で!?」
「ええ。それにより開発の手は数百年の間、入って居りません」
「数百年!?明らかに最近造られた感じの建物だよね、これ!?」
「私サザンクロス・クリスマスイブに具体的な図面と材料を仰って頂ければ、この場所になら瞬時に建物を作ってご覧に入れましょう」
「マジか!?初耳なんだけど・・・」
「まあ、それは置いておきまして、何故そんな結界に覆われている蕪木森に、あの少女は容易く入れたのかと言う事です」
「う、うん」
「何でも、ビニールのヒモがぶら下がっていたと言う事ですね?」
「そうだね。きっと自殺したんだと思うけど」
「そう!つまりはそこなんです!」
イブの声のトーンが上がる。
「この森は、ある条件を満たす者を吸い寄せて、受け入れてしまうんです」