吸血鬼、頑張ります。
ひとまずひよりの提案は、林間学校に戻り、一旦家族の元に帰り、仕度を整えて再び風雲蕪木城に戻ると言うものだった。
城に戻ってからなら、魂を解放されても何でも構わないと言う。
鉄観音とイブは、何故戻りたいのかを聞きはしなかった。
そして、ひよりの提案に同意して林間学校へ戻らせる事にした。
戻るにあたり、イブが条件を提示する。
「良いですか?決して吸血鬼の力を使い、人を殺してはいけません!
仮に人を殺めた場合、あなたの人格、鬼格は崩壊し、人でも吸血鬼でも無くなり、妖怪に成ってしまいます」
「うん」
「血を飲むのは構いませんが、一度牙を突き立てて吸血した場合、もはや魂は完全に吸血鬼になります。速やかに王に吸血鬼の儀式を行って貰わなければなりません」
「うん。解った」
「この二つの約束を守って、一度お戻りなさい。そして、よく考えるのです」
イブはそう言って、ひよりを蕪木森の祠へと連れていった。
「どちらにしても長い間中途半端な立場では居られませんから、早急に蕪木森に帰って来る事を、お勧めします」
「ありがとうございます。よく考えてみます」
ひよりはそう言って、林間学校への道を歩いて行った。