吸血鬼、頑張ります。



嵐のような一夜が開けた蕪木城


食堂のテーブルには料理が並ぶ。


料理担当は香織。

妹との二人暮らしが長かったせいか、料理が上手になった。


そして配膳を手伝うのは妹の沙織。

小学生ながら姉をよく助ける。


イブは指示し、采配をする。

見た目中学生だが、流石は一流の虔属長。
全てにおいて的確だ。


昨夜の一件から、落ち着きを取り戻したひよりも、食堂へ降りてきた。

憔悴しているようだが、そこは吸血鬼。
昨夜刺された背中の傷も完全に癒えて、体は快調そのものの筈だ。


鉄観音は、ひよりの弟琢磨を抱いて食堂にやって来た。


全身筋肉痛の上、なかなか眠らない琢磨に手を焼いたが、二人は打ち解けて仲良しになったようだった。



蕪木城に住む住人が、皆席について、香織が用意した

焼き魚

ナメコの味噌汁

キュリの漬け物

白飯


を、「頂きます!」と、
食べ始めた時に、玄関のチャイムが鳴った。



早朝から、蕪木城を訪れる者など、普通の者ではない。


あらゆる妖怪や人間を拒絶する
イブが用いた結界を、容易く潜り抜けられる訳がない。


鉄観音達は警戒した。


まず、イブが様子を見に向かった。

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