吸血鬼、頑張ります。



玄関の覗き窓から、外の様子を伺うイブ。


人間が立っているのが見えた。


まだ、若い女である。



「また、自殺をしに来たのかしら・・・」


イブは不思議に思った。

昨夜の一件もある。

いささかキナ臭い。


玄関の扉越しに、外に立つ人間に問い掛けた。



「あなたは?」



扉の外に立つ人間は、すぐさま答えた。


「私、東洋魔導師組合の日野みさきと申す者です。
昨夜から、こちらに佐々城ひよりさんがいらっしゃっている筈なのですが・・・」



何としたことか。

イブは驚いた。


東洋魔導師組合が、予想よりも早く動き出していたとは・・・。


「はい。ひよりさんは私達が保護いたしております。
それが、何か?」


イブは尚もドア越しに話をする。


「ひよりさんがどの様な状態で保護されているのか、確認させて頂きたいのですが」


みさきは静かに言う。


ガチャ・・・。


玄関のドアが開いた。



「いや〜初めまして。
私は東洋魔導師組合の理事をしております日野みさきと言う者です」


みさきは屈託の無い笑顔で、玄関に入った。

「いやはや、流石に吸血鬼の森ね。結界を抜けるのに凄く苦労しましたよ」


みさきはイブに言った。

「東洋魔導師組合が何の用ですか?言っておきますが、ひよりさんは既に吸血鬼になってしまいましたよ?」


別段イブの答えに驚く訳でも無く、みさきは言う。


「ええ。知っていますよ」


イブはみさきを、食堂まで案内した。
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