吸血鬼、頑張ります。
深夜、病院の霊安室のドアを開ける者が居た。
涙を瞳一杯に貯めて、姉妹の遺体の前にたっていたのは、鉄観音だった。
「苦しかっただろう・・・辛かったよなぁ・・・」
そう言いながら涙を流す。
シーツをめくり、焼けた姉妹の遺体を目にする。
「う、うわぁ〜・・・」
余りにも無残な遺体に、思わず目を背けるが、気を取り直して一人の遺体の首に歯を立てる。
グチュッ・・・。
そしてもう一人の遺体にも歯を立てた。
グチュッ・・・。
焼けた肉の匂いに、のざえそうに成りながら、二人の首筋に噛み付いた。
すると、どうだろう。
二人の遺体はみるみる内に再生していく。
何事も無かったように、姉妹の遺体は元通りに成った。
「う、う〜ん・・・。」
最初に気が付いたのは姉の方だった。
「・・・。あれ、ここは?天国なの?」
朦朧とする意識で、起き上がる。
「おねぇさん。天国じゃねぇよ。」
目の前にはアパートの住人の顔があった。
「えっ?どういう事・・・。」
未だに意識が混濁している姉は、現状を理解できない。
気が付いたら目の前に、普段から挨拶をしたり、何かと気に掛けてくれる中年男性の住人の顔があった。
「お、お姉ちゃん・・・。」
妹も意識を取り戻した。
姉にすがり付くように、甘えるように、近付く。
「あ、あの・・・。どういう事なんでしょうか?」
鉄観音に事情を訪ねる。