私の記憶へ、ようこそ
part1 -2-


唯桜「違うよ…?かっ、楓とは…」


美羽「そういって橘くんのこと名前で呼ぶのも唯桜ちゃんだけだよね」

誤解を解こうとした唯桜の言葉を遮って美羽はぴしゃりと言い放つ。

唯桜「や、それは幼なじみだから…っ」

美羽「ふぅん…じゃあ好きになる可能性も人一倍あるんだよね」

あぁ、もうダメだ。
こうなると美羽は絶対に耳を貸さない。

自分が権力者だってことをわからせるようにじわじわと攻めていく。

まるでヘビみたいに。

どうしよう。どうしよう。

とにかく何か。
言わないと。

なのに何故?
口から言葉が出てこない。

唯桜「ちっ…ちが…好きじゃない…っ昨日もたまたま会っただけだよ!」

開かない口を必死にこじ開けて出た言葉。

これが事実。


美羽「楽しそうにおしゃべりしてたって聞いてるけどなあ?その後一緒に帰ったんでしょ?ね、優雨」

優雨(ゆう)「うん。私見たよ!ほんっと酷いよね、唯桜ちゃんってそんな子だったんだ」

ちょっとまって。

私、本当に会っただけで喋ってない!
帰ったなんて絶対ない!

なにこれ…?
うそ

唯桜「喋ってない…一緒に帰ってもないよ!なんで…」

じろり。

みんなが唯桜を睨む。


そう。

必死に粗を探して。

ターゲット
自分が弱者にならないように。


あぁ。そうだった。





ココハ戦場ナンダッタ。




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