私の記憶へ、ようこそ
part2 -3-



ここは、森の中…?
めらめらと火が燃える音がする。
けむりを吸いそうになるのを
ハンカチで必死におさえる。

森が。
燃えてる…?

???「いたぞ!!追え!!」
全身黒の服に身を包んで顔を黒の布で覆ったひとたちがこっちに向かって走ってきた。


その人数。

約50人。


???「こっちよ!」

伸びてきた手を握って逃げる。逃げる。逃げる。



唯桜「はぁっはぁっはあっ…っ」
つらいよ…
まだ走らないとダメなの…?
助けて…
あついよ…あつい…

???「走りなさい、走るのよ」

その声の主は煙に隠れて姿が見えない。

とても冷たいガラスのような声。
けどどこかあたたかくて落ち着く。
そんな声。

唯桜の着ていた白いワンピースはあちこちが破け、唯桜の顔は真っ黒に汚れ、足や手も落ちてきた燃えた木の枝で火傷していた。

唯桜「あついよ…」

???「走り続けるの」

唯桜「…あなたは、だれ?」

???「わたしは…」

その瞬間口を抑えられ草の中に沈められた。

草や木の棒が足や手にささる。

唯桜「いっ…!」
???「しずかに…」

黒い服を身にまとい、剣や斧、矢をもったひとたちが横をすごい形相でかけていった。

唯桜はそれを痛みを必死にこらえながら見つめていた。

しばらくすると手を離され、唯桜は息を整えた。

唯桜「…はぁっ、ふう…はあ…」
???「よく聞いて」
唯桜「…あの…」
???「あなたは追われている。あの者達に見つかったらあなたは体を引き裂かれて死んでしまう。」
唯桜「な、なんで…」
???「あなたが不知火一族である限り、ずっと、続く。」
唯桜「わたしは…わたしは…」
???「逃げて。私が敵を引きつける。だから逃げて」
唯桜「ど、どうやって…そんなこと…」
???「これからどんな光景をみても、決して声を出してはダメ。いいわね」



唯桜は、こくん、と頷いた。

この人の言う事を聞かなければならない。

そう思ったから。

???「いい子ね…強く…強く生きて…」
唯桜「え…」

そう唯桜が言った時にはもう、
あの人の姿はなかった。

ぐさっ、


何かを刺す鈍い音。

その音の方を見ようとすると。

ぐにゃり

目の前の景色が動いた。



唯桜「ちょっ…まっ…!」

手を伸ばす。

届かない。
悔しい。





あれ?





何デ、悔シイノ?








遠くの方で声が聞こえる


唯桜!!唯桜!!
起きてよ!!唯桜!!
ねえ…お願い…


唯、桜?

だれ…?

わたしは…わたしは…






あれ?






わたしは…








私ハ、誰ナノ?


























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