その瞳をわたしに向けて

目の前でムッと口を尖らす

「勝手に寄ってくるんだもん………」


「そんなだから美月は………会社ではどう?大丈夫?」


「大丈夫よ、ちゃんとやってる。相変わらずだよ」

心配性の瑠璃子、でも会社の事と言ったら杉村常務の事か、もう一人の男の愚痴くらいなもんで、


「ねぇ前から言ってた『巨人兵』は?」

「巨人兵って………今日も怒られた、だから遅れたんじゃん」

いつも仁王立ちして火でも吹くんじゃないかと思うくらい「お前は……」ってミスの指摘をしてくる、背ばっかり高い眼鏡男って瑠璃子に説明したら、勝手に『巨人兵』というアダ名をつけてきた


「根気よく美月を叱るなんて大した奴じゃない。」

クスクスと嬉しそうに笑う

そんな彼女になかなか頭が上がらない美月もたまには反撃にでる

「……瑠璃ちゃんこそ、そろそろ部屋のお掃除しに行かないと大変なことになってるんじゃない?」

思わぬ反撃に飲んでいた飲み物をグッと詰まらせる

「だ……大丈夫よまだ……ちゃんと少しずつ片付けてくから……」

一人暮らしの部屋に仕事を持ち込む掃除の嫌いな彼女は、ほっとくと部屋が大変な事になってしまう。
一緒に住んでいた時に何度も注意したのに治らなかった。


欠点だらけの私たち。
幾つかあった欠点は、二人一緒にいる事で少しづつ改善されたけど、離れているとやっぱりお互い心配してしまう


真面目な交流会グループから瑠璃子に声が掛かる
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