その瞳をわたしに向けて
「お前、俺と付き合うか」
頭の奥まで響く低い声に視線を上げると、もう一度顔が降りてきて、美月の頬にチュッと音をたててキスをされた
優しく指で美月の耳朶を弄びながら顔を見下げる松田の目を見直す
違う…………
松田の言った言葉を理解すると、美月は大きく首を振った
「無理」
松田を見上げ、美月は眉間に皺を寄せて言い放った
「…………………はっ?」
少しの沈黙の後、小さく溜め息を漏らし美月から離れて、運転席側に戻っていった
シートから背中を少し浮かせ、肩を屈めて顔を松田の方へ向ける
「だって………松田さん、別に私の事好きな訳じゃないじゃないですか…………」
口を尖らしそう言う美月
車窓に肘をかけ、頭を掻く松田