その瞳をわたしに向けて

「…………」

意味が分からない。

「私………松田さんのお友達なんですか?」

「そう」

「…………」

もうすぐ30代になろうっていう男性がお友達って、なに?どこまでのお友達?

今日確か、私はこの人に頭ごなしに怒られたはずだよねぇ…………

松田の手が美月の頭に伸びてきて、ゆっくり撫でてきた

「月曜日、会社でもそのままいつも通りで、この前みたいに無視するなよ、またやりにくくなるから………」

見上げる美月に、そう言って小さな笑顔を見せた

そのまま手はゆっくりとさりげなく頬に降りてきて、唇に触れる

「…………だったらこれはセクハラですよ」

「なるほど…………つい」


カーナビの時計はもう23時をまわっていた。


「もう、帰ります。あの、ありがとうございました。ご馳走さまでした。」





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