その瞳をわたしに向けて
お友達
本当に松田の態度は、いつもと何も変わらなかった。

『お友達』の意味も分からないまま、休みの間はなんとなくモンモンと考えていたが


同じ部署だから挨拶はかわす、目の前から近くにくる松田に俯いたまま、いつも通りの挨拶をかわす

「おはようございます」

「ああっ はよ」

お互い目も会わさず通り過ぎながらの挨拶

キスして、付き合うかって言ってきた松田がまるで何もなかったような態度に、ホッとする反面ムッと眉をひそめる


このところ、会議や外回りの多いせいか松田と日中顔を会わせるのは、仕事を割り振られる時だけ

その時でさえ淡々としていて、却って先週のトラブルでのやり取りによる、まわりの心配の目の方が気になってしまう


考えてみれば、いきなり私と松田さんが仲良くなるなんて有り得ないんじゃない。


そう思いながら毎日の業務をこなす
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