その瞳をわたしに向けて
「清宮さん、今日は残業とかない?」

もうすぐ定時の時間で、立花さんが出先から帰ってきたら、チェックと業務報告をして今日は終わるけど………

「この前言ってた反省会しよう。っていうか清宮さんにだけミスを押し付けて怒られたお詫びさせてよ。奢るから」

そう言って、パソコンに向かう美月の机に手をついて話しかける一条

この前ちゃんと断ったのに………

見映えも悪くない、仕事だって出来る方だし営業としてそれなりに、身なりもととのっていて、田中さんの話ではどこぞかの酒蔵屋の次男坊らしい。お坊っちゃまらしい所は確かにある


軽いノリで誘ってくるよりタチが悪い………


「そんな、本当にミスは私が発端なんですから、それにこれから気を付けます。一条さんも気にしないでください。全然押し付けてなんてないですから」

視線はパソコンを見たまま、早口で出来るだけ社交辞令を相手にするように軽く笑いながら話す美月

「うん、だからね。俺の気がすむようにさせてよ。」
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