その瞳をわたしに向けて


こうして二人でいることに慣れてくると、いろいろ見えてくる



会社での松田さんの視線の先は、やはり時折立花さんがいる

本人はきっと無意識なんだろう…………

立花さんを呼ぶ時、その前に一瞬口の端が上がるところだとか、振り向かれた瞬間に一度目を逸らすところとか…………


ああゆうのが彼の『好き』って気持ちなんだろと思う

だから、私に対しての付き合うって…………


『ただ単に寂しかったのよ、巨人兵はさ』

ちょっと分かったような口ぶりで、電話口から息を吐くような含み笑いをする瑠璃子


「寂しいって………?」

『だから、迷い込んできた猫が思いのほかなついてきたって感じ、かわいいから飼おうかなって思ったんじゃない?でもそっぽ向かれて、じゃあ寂しいから餌付けしておこう的な…………?』



「なにそれ、誰が餌付けされる猫よ…………」





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