その瞳をわたしに向けて





「なにやってるんですか…………?」

その日の夜、22時半になる頃松田に呼び出された



「今日、飲み会だったんじゃなかったんですか?」


美月のマンションの玄関から道路の間にちょっとした共同庭園があって、そのなかの1つのベンチに松田は座っていた


「行った………俺、明日も打ち合わせで会社行かなきゃならねぇから、9時前頃途中で抜けてきた」

抜けて、いままでどこで飲んでたんだ?
…………この時間まで



「じゃあ、なんでこんなとこに居るんですか?」

呆れた顔をして、松田の座るベンチの横に立つ美月

「………………」

「酔ってるんですか?」


小さく溜め息をつく美月に、松田が顔を上げる

「酔ってねぇし…………」


じゃあなにやってるの…………?
タクシーで帰って来たなら、途中こんな所で降りないで自分の家まで帰ればいいのに…………
< 138 / 432 >

この作品をシェア

pagetop