その瞳をわたしに向けて

「清宮…………」

松田が目の前に立つ美月の手を取った

「コーヒー飲ませろ」

「いやです。何時だと思ってるんですか」


「……………」


少し沈黙したまま、生暖かい湿った風が二人の頬を通り過ぎる

蒸し暑いけど、明日は雨かも………そんなことが頭によぎると、松田が繋いでいた手を放した

「………じゃあいい、他に行くから」

口を尖らせ、俯いて頭を掻く松田

他ってなに………?
だいたい、何しに来たんだって





………分かってる。この人、会社ではいたって普通に振る舞っていたけど

………………原因は立花さんかぁ

杉村常務との婚約発表から、視線が立花を追わなくなったことに美月は、気がついていた。

なんて、分かりやすい
ずっと我慢してたんだ……………

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