その瞳をわたしに向けて
「清宮っ」
エレベーターを止めて待っている松田に強く呼ばれ、あわててそこに乗り込んだ
結局、不機嫌な松田に車に乗るように言われて、家の方向を伝えた
車が発進してからも気まずい雰囲気の沈黙が続き、そのまま口なんか開かずにいればよかった
でも、この沈黙が堪えられないのと、もやもやとした苛立ちの気分がいけなかった……
「立花さんと杉村常務って、付き合ってたんですね……」
助手席で肩を屈めてそう言ったが、松田からの返事はない
何を覗き見たのか分かってしまうのに……
「立花さんって、普段いい人っぽいのに……ちゃっかりしてるんですね。愛想がいいのは杉村常務のためだったんだぁ……」
「…………」
「仕事も残業とか頑張ってますアピールして、何でも頼むと引き受けちゃって……あれって、計算でやってたんなら相当腹黒ですね」
「お前なぁ……」
運転しながら不機嫌がMAXになっていく松田には、気が付かなかった