その瞳をわたしに向けて
「松田さんは、何で立花さんに好きっていわなかったんですか?」

いくら立花さんが天然の鈍感でも、ちゃんと言えば伝わったはずだし、松田さんだって告白も出来ないほどヘタレではないと思うんだけど…………


「ああ、立花なぁ………会社入社した時点で杉村常務に片想い確か8年目だったんだ」

「へっ?」

「中3の時、友達の家庭教師をしてた大学生の杉村常務を好きになってから、ずっと本人いわくストーカーだと、常務は気付いていたのか知らないがな」

「はぁ………」

恋は盲目、松田さんは目に入らなかったんだ


立花さん、ずっと頑張ってきたんだ………

「でもさぁ………」

口を挟もうとした美月より松田が視線を上に向けて先に遮ってきた


「あいつ、処女だったしな」

「はぁっ?!」


松田が頬杖をついて頭を掻いた


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