その瞳をわたしに向けて
「田中さん、松田さんのこと案外詳しいんですね。」


「うーん、詳しいって言うかぁ……分かりやすいでしょ、なんか思春期の男の子って感じで。」

ふふっと含み笑いをしながら松田の方から美月に視線を戻す


男の子って……………確かに田中さんから見れば年下には代わりないけど、思春期?

「入社当時から仕事のやり方が落ち着き過ぎでしょ。頭の回転が早いのは良いことなんだけど、恋愛に関してはねぇ…………」

しっかり観察してたなら知ってるはずだよね、松田さんの好きな人



「彼には山田さんみたいな従順そうな女の子は合わないと思うんだよねぇ。」


…………でも、立花さんはどちらかと言うと従順タイプだと思うんだけど…………

「松田君には、振り回すくらいの子の方が合ってるのに、たとえば美月ちゃんみたいな」


「へっ、私?!」


美月の顔を覗き込んでニヤリと口の端をあげた田中さん


「恋愛ってのはさ、理想より現実が大事。下手な噂とか気にしないようにね。」


聞くとこによれば、立花さんと杉村常務を決定的にくっつけたのは、田中さんだとかなんとか……………



「さっ、私達も会社に戻ろう」

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