その瞳をわたしに向けて
「セレブのパーティーかなんかで一目惚れってやつ? 身の程知らずよねぇ、なんか立花さんを選んでくれて『でかした』って感じよねぇ」


…………なによそれ、どこのパーティーよっ


「金持ちだったら何でも思い通りになると思ってさぁ、これで松田さんまで手を出してきたら最悪じゃん」


手を出してきたのは向こうだしっ!


「なんか会社帰り、松田さんに家まで車で送らせることもあるらしいよ。まあ、杉村常務の命令らしいけどさぁ、人を顎で使ってるって」

「すっごいお嬢様なんでしょ、あの子ってさ、でもそれだけじゃん。松田さんって仕事出来ない子は嫌いなんでしょ? それで告白した子たち、何人かフラれてるし」


「バカは会社辞めろよって感じよね~」


 ……………………っ



「わっヤバイ、もう行かなきゃメールチェックまだだった」

バタバタと出ていって、一気に静かになった


「…………私も行かなきゃ」





「お前、総務行くのに電車にでも乗ってたのか?」

部署に帰れば一発目にして不機嫌な叱責が飛んできた

「……………」

ストッキングが破れてて、履き直してたらトイレで自分の悪口言われてて出てこれませんでした、なんて言えないよね………
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